ロクス、あるいは記憶の庭
◎かつてギリシアの記憶術では、胸の内の架構建築ロクスに記憶をはりつけていた。それが外化して神殿や彫刻となり、文化を統べる柱となっていく。日本の里や都に見られる数々の人為的造形もロクスの外化で、里と都のちがいもロクスの類型...
◎かつてギリシアの記憶術では、胸の内の架構建築ロクスに記憶をはりつけていた。それが外化して神殿や彫刻となり、文化を統べる柱となっていく。日本の里や都に見られる数々の人為的造形もロクスの外化で、里と都のちがいもロクスの類型...
ふと 庭が寂しそうと思った 別段花が咲いていなかったわけではなく 梔子が枯れかかっていたわけでもない ただ三日月の光を浴びている庭が どこか唇を結んで天を仰いでいるようだった それで書斎の奥からいまは触れることもなくなっ...